会議の録音は法的にOK?AIボイスレコーダーで録る前に確かめたい5つの注意点
AIボイスレコーダーで会議を録音する前に確かめたい、個人情報・社内ルール・データの保存先の注意点を、公的機関と公式の情報で整理しました。

※この記事は、2026年10月22日に公的機関とメーカーの公式ページで確かめた一般的な情報をまとめたものです。筆者は弁護士ではなく、法律の助言ではありません。
AIボイスレコーダーで会議を録音すること自体が法律上どう評価されるかは、公的機関のページを調べた範囲では、はっきりした答えが見つかりませんでした。
その一方で、録音したデータを人に渡すときや、クラウドに保存するときの決まりは、個人情報保護委員会などが公式に説明しています。
この記事は、PLAUD NotePin S のようなAIボイスレコーダーで会議や商談を録りたい会社員とフリーランスに向けて書きました。
不安を5つに分けて、どこまでが公式に書かれていることで、どこからが個別の判断になるのかを整理します。最後に、法律とは別の話として、録音を気持ちよく始めるためのマナーもまとめました。
注意点1:会議を「録音すること」そのもの
いちばん気になるのは、「相手に断らずに録音したら違法なのか」という点ですよね。
ここは正直に書きます。個人情報保護委員会・経済産業省・厚生労働省のページを調べた範囲では、「自分が参加している会議を録音してよいか」に直接答えている記述は見つかりませんでした。個人情報を偽りその他不正の手段で取得してはならないという条文(個人情報保護法第20条第1項)はありますが、録音を例に挙げた記述は確認できませんでした。条文は、個人情報保護委員会のガイドラインに引用された形で確かめています。
この記事は公的機関の一次情報だけを根拠にする方針なので、ネットの解説記事をもとに「問題ない」「違法」と言い切ることはしません。
この記事では、自分が参加している会議や商談を、議事録のために録る場面だけを扱います。
ここに書いたのは一般的な情報です。個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。
注意点2:録音データは「個人情報」になることがある
録音したあとの扱いについては、個人情報保護法に関わる部分があります。
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人情報に当たる例として次のものを挙げています。
「本人の氏名が含まれる等の理由により、特定の個人を識別できる音声録音情報」
会議の録音では、出席者が名前を呼び合ったり、自己紹介をしたりします。そうした録音は、個人情報に当たる場合があるということです。
もう一つ知っておきたいのが、誰が義務を負うのかという点です。
個人情報保護法では、「個人情報データベース等を事業の用に供している者」を「個人情報取扱事業者」と呼びます(法第16条第2項)。
ガイドラインは、法人格のない団体や個人であっても、個人情報データベース等を事業に使っていれば個人情報取扱事業者に当たると説明しています。会社だけでなく、フリーランスにも関係しうる話です。
個人情報取扱事業者が個人情報を取得したときは、利用目的をあらかじめ公表している場合を除いて、速やかに本人に通知するか公表しなければならないとされています(法第21条第1項)。
ただし、法律は「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」などの言葉を使い分けていて、どれに当たるかで課される義務が変わります。自分の録音データがどれに当たるかは、ここだけでは決められません。
ここに書いたのは一般的な情報です。個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。
注意点3:録音データを他人に渡す・公開する
録音そのものより、録ったあとに人へ渡す場面のほうが、公式の決まりがはっきりしています。
個人情報保護法第27条第1項は、次のように定めています。
「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」
ここで言う「個人データ」は、「個人情報データベース等を構成する個人情報」のことです(法第16条第3項)。
つまり、録音データを社外の人に送る、共有リンクを渡す、といった場面では、その録音が個人データに当たるか、例外に当たるかを考える必要が出てきます。
条文には「次に掲げる場合を除くほか」とあるとおり例外が定められていて、業務の委託に伴って渡す場合なども、ガイドラインで「第三者に該当しない場合」として説明されています。
SNSや動画サイトなどで録音を公開することは、この記事で扱う範囲を超えます。公開を考えているなら、公開する前に専門家に相談するのが確実です。
ここに書いたのは一般的な情報です。個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。
注意点4:会社の就業規則と、取引先との秘密保持
法律とは別に、会社のルールや取引先との約束で録音が制限されている場合があります。
厚生労働省の労働局のページによると、常時10人以上の労働者を使う事業場は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条。作るときに労働者の代表の意見を聴く手続きは第90条)。
作成した就業規則は、見やすい場所への掲示や書面の交付などで、労働者に周知しなければならないとされています(労働基準法第106条)。
就業規則は労働者に周知しなければならないとされている(第106条)ので、見られる場所を探して、録音や私物の機器の持ち込みについて書かれていないかを確かめておきましょう。
取引先との打ち合わせでは、秘密保持契約(NDA)も関係します。契約で情報の扱い方が決められていることがあるので、録音データを残してよいかは契約の中身次第です。
経済産業省は、不正競争防止法の「営業秘密」を、「有用性」「秘密管理性」「非公知性」の3つの要件を満たす情報と説明しています。営業秘密の侵害行為について、不正競争防止法が民事上・刑事上の措置を定めているとしています。
商談の録音には、取引先の営業秘密が含まれることもありえます。録音データの保管先と共有の範囲は、メモ書き以上に気をつけておくと安心です。
ここに書いたのは一般的な情報です。個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。
注意点5:文字起こしでクラウドに上がるデータの行き先
PLAUDは、文字起こしや要約のために音声をサーバーへ送ることがあると説明しています。ここでは PLAUD を例に、メーカーの公式ページに書かれていることだけを並べます(すべて2026年10月22日に確認)。
PLAUD の公式ページに書かれていること
- 保存先:初期設定では、録音は本体と連携した PLAUD アプリにだけ保存される。文字起こしと要約のときは、処理のためにサーバーへアップロードが必要な場合がある(英語のサポート記事)
- 処理後のデータ:「Private Cloud Sync」がオフなら、録音・文字起こし・要約は処理後すぐにサーバーから自動で削除される。オンなら、暗号化してクラウドに保存され、利用者が削除を求めるまで残る(英語のサポート記事)
- AIの処理:文字起こしと要約には OpenAI・Google・Microsoft の3社を使い、各社とは保存しない・学習に使わない契約を結んでいる(英語のサポート記事。対象はアプリの v3.30.x 以前と明記されており、それより新しい版の扱いは、この記事では確かめていません)
- 暗号化:通信時は HTTPS/TLS 1.2 以上、保存時は AES-256(日本語の「信頼性と安全性」ページ)
- データセンター:米国・欧州(フランクフルト)・シンガポール・日本にあり、データは「お客様の所在地域、または最適な地域のデータセンターで保管・処理されます」(同ページ)
- 日本の利用者のデータ:日本語の公式ブログ(2026年9月22日)は、日本の利用者のデータを東京リージョンで保存・管理していると説明しています。ただし見出しは「保存・処理を順次完了」で、対象となるデータの範囲と、AIの処理を行う場所は書かれていません
公式ページの間で、書き方が違う点もあります。ウェブサイト向けのプライバシー通知には「日本のユーザーの個人データはアメリカ合衆国に保存」とあり、公式ブログの「東京リージョン」と食い違って見えます。対象とするデータが違うのかもしれませんが、どちらが録音データに当たるかは確かめられませんでした。会社で使う場合は、PLAUDに問い合わせて確認するのが確実です。
アプリの利用規約とプライバシーポリシーはアプリの中で提示されると案内されていますが、その本文はこの記事では確かめていません。仕事で使う前に、アプリ内の規約も一度読んでおきましょう。
クラウドの利用と個人情報保護法
個人情報保護委員会のQ&A(Q7-53)は、クラウドサービスの利用が第三者提供や委託に当たるかどうかは、保存したデータに個人データが含まれるかではなく、クラウドの事業者がその個人データを取り扱うことになっているかで判断すると説明しています。
外国のサーバーについても、Q&A(Q12-3・Q12-4)で、外国の事業者が個人データを取り扱う場合には「外国にある第三者への提供」(法第28条第1項)に当たりうるとしています。
PLAUD の仕組みがこのどれに当たるかは、僕には判断できません。会社で使うなら、情報システム部門や専門家に確かめてから使い始めるのが確実です。
ここに書いたのは一般的な情報です。個別の判断は弁護士などの専門家に相談してください。
法律とは別に:録音を気持ちよく始めるためのマナー
ここから先は、法律の根拠がある話ではなく、トラブルを避けるためのおすすめです。
- 会議の冒頭で「議事録づくりのために録音します」と一言伝える
- 取引先との商談なら、会議の案内メールに録音したい旨を書いておく
- 相手が嫌がったら録らない。録られたくない話が出たら、その間は止める
- 録音データと文字起こしを誰と共有するかを、先に決めておく
- 議事録ができて不要になった録音は、残し続けずに消す
- 会社員なら、社内の録音ルールや使ってよいクラウドサービスを先に確認する
PLAUD も、日本語サイトのページ下部で「録音を始める前に、参加者に録音する旨を伝え、同意を得てください」と呼びかけています。
まとめ|不安は「録る」「渡す」「預ける」に分けて考える
会議の録音で迷ったら、録ること、人に渡すこと、クラウドに預けることを分けて考えると、何を確かめればいいかが見えてきます。
録ることそのものは、公的機関のページで直接の答えを見つけられませんでした。渡すことと預けることは、個人情報保護委員会のガイドラインとQ&Aに考え方が書かれています。
そのうえで、会社の就業規則と取引先との契約を確かめ、会議の冒頭で一言伝える。AIボイスレコーダーを仕事で使い始める前の確認として、まずはここから始めてみてください。
判断に迷うケースや、録音を証拠や公開に使いたいケースは、弁護士などの専門家に相談してください。
次に読む:
→ AIガジェットおすすめ完全ガイド(ピラーA)
→ PLAUD NotePin S 完全ガイド|できること・料金・向いている人を買う前に整理
*この記事は、2026年10月22日に公的機関とメーカーの公式ページで確認した情報をもとにした一般的な解説です。法令やサービスの内容は変わることがあるため、個別の判断は弁護士などの専門家に相談し、製品のデータの扱いは最新の公式情報で確かめてください。*



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